

1945年以来、毎年、シャトー・ムートン・ロスシルドのラベルには、ひとりの巨匠美術家がそのヴィンテージ用に特別に制作した絵画作品が飾られる。かくして、歳月を重ね、現代美術界を代表するアーティストたちによって、豊かなコレクションが形成されている。
2000年は例外的に、フィリピーヌ・ド・ロスシルド夫人からアーティストへの制作依頼はなく、ボトル「そのもの」がコレクション作品として選ばれた。ボトルには、ムートン併設の「Musée du Vin dans l’Art(芸術の中のワイン・ミュージアム)」を代表する逸品、「アウクスブルクの牡羊」が飾られている。美しい細工彫刻が施された金泊仕立ての銀杯で、ドイツ人金細工職人ヤコブ・シュナウアーによる1590年頃の作品である。
B.S.N.社は、金細工本来の輝きと高貴さを取り戻そうと、4ヶ月の研究期間をかけて レリーフ彫りエマイユ(七宝)工芸の新技術を開発。特注の道具と高い精巧性が要求される作業である。金およびエマイユの焼成はとりわけ複雑な工程であるが、それにより、輝くばかりのテクスチュアと、他とは比較にならない、見事に光を「引き付ける」性質が生まれる。
黒いキャプシール部分には金の輪があしらわれている。そこには牡羊の首輪に彫られている模様が描かれ、羊の胴体の渦巻き型彫刻装飾が繰り返されている。紋章、銘柄、ヴィンテージ、オーナーの署名、いずれも上質の金箔を使用した孔版印刷。ボトル自体、どっしりと重さのある高級ガラスを採用し、ボトルの肩ラインを若干整え、円錐台形型シルエットへと手直しされている。ボトル底には、真正性認証のため、シャトー・ムートン・ロスシルドの名が刻まれている。