ポール・デルヴォー(1897年〜1994年)は、ベルギー生まれのアーティスト。シュルレアリスムの中心人物となる以前には、フランドル表現主義の影響を受けていた。事実、近代絵画の大家が生み出す世界は、奥深くまで独創的で、むしろ「レアリスム・マジック」を思わせる。デルヴォーは、ミステリーに満ちた強迫的な場面を描き続けた。乳白色に描かれた、重苦しく、かつ官能的な裸体の女性モデルは、精気のない視線を向ける。まぼろしの世界のような舞台設定。月明かりのような光彩のもと、写実的タッチの都市の景観と開放的な自然が隣り合わせに描かれる。
1985年ムートン・ロスシルドのラベルには、清純で模範的な少女たちが描かれている。最初はお互い見知らぬ様子。ところが、うっとりとブドウの房を見つめ、手で触れ、最後にはそれを味わうことで、ブドウの魔力によって結ばれる。