

ジョン・ヒューストン(1906年〜1987年)は、映画監督として知られ、同時にボクサーでもあり、美術愛好家、作家、馬の飼育者、狩人、俳優の肩書きを持つ。若かりし頃から画才にも恵まれていた。「ムートンにおける60回目の収穫を記念し、私の親愛なる友、バロン・フィリップに深い敬意を込めて」、フィリップ・ド・ロスシルド男爵に寄せられたヒューストンの言葉である。友好の絆の深さと、魔力あふれるこの土地への彼自身の愛が感じられる。
1982年ムートン・ロスシルドのラベルには、晩年の作品のひとつである水彩画が描かれている。官能的で、軽やかな優雅さ、深く温かみのある色彩。そこには、具象派の技法を用いて象徴的モチーフである牡羊が描かれている。ディオニュソスの快楽を身体いっぱいに感じるかのような動きで、その横には太陽とブドウが変わらず寄り添う。