ジョアン・ミロ(1893年〜1984年)は、カタルーニャ出身のアーティスト。1919年にパリへ拠点を移す。しばらくするとアンドレ・マッソンからシュルレアリストの活動グループを紹介され、加盟に際してはブルトンからの熱い歓待を受ける。1924年頃、激しい色彩の世界観を生み出し、記号的オブジェ、ヘビ、不気味な偽足の寄生虫を描くようになる。そんなモチーフにも、まるで子供が描く絵のような、無邪気さとファンタジー性があらわれている。ミロの作品には共通してこの根本的曖昧さがベースにあると言える。このウジ虫らは、基盤円のまわりを旋回しているが、これはエディプス的幻想の転換なのか、それとも灰色の世界を目の前にして、ただ陽気にはしゃいでいる様子と解釈すれば良いのか?
1969年ムートン・ロスシルドのラベルは、血液のような赤色で塗りつぶされたひと粒の巨大なブドウがキャンバスを覆い、左の隅には「salut aux couleurs(軍旗敬礼)」、ロスシルド家の色である青色と黄色に塗られた旗がユーモラスに描かれている。