

ジャン・ユーゴー(1894年〜1985年)は、ヴィクトル・ユーゴーの曽孫にあたり、早くから舞台美術を志した。1921年、ジャン・コクトー「エッフェル塔の花嫁花婿」の美術を担当したことで世に知られる。その後、レオニード・マシーンのバレエ作品の舞台美術を担当し、1930年代にはコメディ・フランセーズをも手掛けた。それと同時に、油絵画家、水彩画家としての制作活動も進め、ミニチュアの巨匠として知られた。また、両大戦間期の祝宴ムードを、仮面や仮装衣装などをモチーフとして表現した。1940年代から晩年まで南仏で暮らし、そこで回想録「Avant d’oublier(忘れる前に)」を書き記している。
ムートン・ロスシルドのラベルに、ジャン・ユーゴーは、オリーブの枝を加えた鳩を描いている。聖書の中の「ノアの方舟」に登場するシンボルである。再び平和が訪れた終戦の翌年を記念して。