

セルジュ・ポリアコフ(1900年〜1969年)はモスクワ生まれ。1919年、ロシア革命から逃れるために祖国を去る。トルコに滞在した後、ヨーロッパを転々とし、1923年にはパリに拠点を構える。そこでカンディンスキーと知り合い、また、色彩に関する研究を共にする、ロベール&ソニア・ドローネー夫妻との関係を築く。かくして、非具象的アートへと導かれたポリアコフは、1945年、並置混色をベースとした独自のスタイルを確立する。まるで建築的と言える正確な構成を持つ、不規則な多角形の色彩モチーフの組み合わせ。ポリアコフの作品には、コントラストの激しいカラーのみならず、オレンジと赤、緑と青など、色調の似たカラーを並置する手法も取り入れられている。この形式的な峻厳さを特徴とする美術的表現は、素材を活かす技により、作品に思いも寄らぬ奥行きを持たせる効果を持たせ、結果、並外れた作風を生み出す。
バランス、カラー、力強さ。1972年ムートン・ロスシルドのラベルに制作された作品には、グラン・ヴァンの魅力の全てが詰まっている。