

活動初期は、キュビスム的図案化や黒の時代のピカソからの影響を受け、マリー・ローランサン(1885年〜1956年)は、当時の前衛美術運動との距離を縮めていく。アポリネールやその仲間たちとの関係を築く時期と重なる。その後、彼女の画風は「ナビ派」に触発され、より装飾的技法へと転向を見せる。学派や体制は抜きにしても、彼女の作品には独特の個性があり、パステル調の色彩を得意とし、しっとりとした純朴さを感じさせる画風である。若者たちの表情を特に好んで描いている。
1948年ムートン・ロスシルドのラベルには、酒神バッカスの若き巫女ふたりを描き、彼女の作品にしばしば現れる、子供ながらの重々しさが捉えられている。