ジャン=ポール・リオペルは、1923年モントリオール生まれのカナダ人画家である。早い時期から画家ポール=エミール・ボルデュアスと交友を持ち、共に前衛グループ「オートマティスム」を結成する。この活動の一環として「全面拒否(Refus Global)」(1948年)を発表。パリ、ニューヨーク、そして祖国カナダを制作活動の拠点とし、叙情的抽象主義の流れの中で作品を発表する。自然の生命力にインスピレーションを受け、厚みのある、彩り豊かな絵画作品には、初期暴力性が表現されている。パレットナイフやペインティングナイフの使用はその特徴をより顕著なものとする。それでも、幾何学的フォルムの厳正さによって、その暴力性には制御が掛かる。
1978年ムートン・ロスシルドのラベル用に、リオペルは作品を2点制作しており、どちらかを選ぶことが出来ず、結果、この年の生産ボトルの半数に、それぞれ異なるラベルが採用されている。