シャトー・ムートン・ロスチャイルドは2021年ラベルの作品制作を日本人アーティスト、塩田千春(Chiharu SHIOTA)に依頼しました。作品タイトルは「Universe of Mouton(ムートンの宇宙)」です。
作品に描かれているのは、赤々ときらめく溢れんばかりの自然を前に立つ、か細いシルエットの人物。そのシルエットは真っ先に注意を引くわけでもなく、周囲に対してこぢんまりとして見えます。まるで自然と人間の均衡を取ろうとしているかのようです。握る力が強すぎると糸は切れてしまうでしょうし、逆に力が足りないと雲は空高く飛んでいき、繋がりは断ち切られてしまうでしょう。
「シャトー・ムートン・ロスチャイルドを訪れた際、シャトーと自然との関係性に多大なるインスピレーションを受けました。人々は天候に対して従属的であり、母なる自然と衝突することはありません。ぶどうが育つ環境を受け入れています。ムートン・ロスチャイルドは人間と自然との均衡を保っているのでしょう」塩田千春
人物と自然を繋ぐ4本の線は四季を表現し、作品の空間に時間を刻みます。孤独と悲哀をもたらす冬を抜けると、春には希望の種が蒔かれます。エネルギー満ち溢れる夏には花が咲き乱れ、それまでの成果が明らかになる秋を迎えます。いずれの収穫年のワインも、ぶどうが育った環境をそのワインの味わいに感じることができます。
「人物と世界を繋ぐ4本の線は、冬、春、夏、秋… 四季を表現しています。孤独、希望、そして達成感… そこには四季にまつわるありとあらゆる感情が繋がれています」
「ワインにはまるでその1年の記憶が保存されているかのようです。私は身の回りのものにも記憶や存在自体が記録されていると思うので、なんとも言えない感動を覚えます」塩田千春
ジュリアン・ド・ボーマルシェ・ド・ロスチャイルドはシャトー・ムートン・ロスチャイルドの共同オーナーであり、同シャトーの文化芸術事業を担当しています。新ヴィンテージのラベル作品を制作いただくアーティストとの関係構築をマネジメントしています。
「私を魅了したのは塩田千春の世界観です。不確かでいて繁殖力に富み、寛容でいて予知不可能な、特に人間と自然との関係性において、我々が日々生きているワインの世界と、極めて多くの類似点を見出すことができます。そしてこの鮮やかな赤色も、彼女の作品を象徴する色のひとつですが、タンクから取り出されたばかりのワインを連想せずにはいられません…(中略)
このラベルはまさに「メタフォリカルレアリズム」と呼ばれるべきもので、世にも立派なぶどうを片手でしっかりと握るヴィニュロンの姿が思い浮かびます」
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