

マルセル・ヴェルテ(1896年〜1961年)は、ハンガリー生まれのアーティスト。広告デザイナーとしてウィーンで活動を始め、その後1925年にパリへと拠点を移す。リトグラフィー(石版画)を専門とする。作品集「ダンシング」(1926年)では、狂騒の時代を生きる彼のするどい観察眼が発揮され、出版各社からの高い関心が集まった。コレットの「シェリ」「さすらいの女」、ピエール・ルイスの「ポーゾル王の冒険」、ポール・モランの「恋の欧羅巴(L’Europe galante)」、ラモン・ゴメス・デ・ラ・セルナの「サーカス」など、数多くの文学作品の挿画制作依頼を受けている。
1951年ムートン・ロスシルドのラベルには、幸福感あふれる美しい牧歌的風景を背景に、アーティストが得意とした仲睦まじい恋人たちが描かれている。