

マルク・シャガール(1887年〜1985年)は、ロシア生まれのイラストレーター、版画家、画家、彫刻家。敬虔深いユダヤ系一族に生まれる。パリへと拠点を移した後、一度ロシアへ戻り、その後、再び活動拠点としたパリに開戦までとどまり、戦中にはアメリカ合衆国へと移り住む。戦後、再びフランスを拠点に活動を始める。ユダヤの伝統とロシア文化の合成から生まれる彼の絵画作品は、象徴的であると同時に具象的で、じつに軽やかな世界へと見る者を誘う。作品には、人生における重要なステップとなる事象がテーマとして取り上げられており、幼少期から変わらぬ、常に新鮮な視点、鮮やかな色彩感覚と身近な動物たちを愛でる心をもって描かれている。
シャガールは、1970年ムートン・ロスシルドのラベルに、ワインではなく、新鮮なブドウ果実を素材として選んだ。ブドウ粒をつつくツグミ、あるいは母が子にブドウの房を差し出す構図が描かれている。