

ベルナール・セジュルネ(1947年〜1994年)は、ハイチの農園経営者一族に生まれた。画家としての活動初期から、ジャマイカと米国にて、技術面および芸術面における研鑽を積む。その間も故郷の島との深い絆が薄れることはなかった。ミステリアスで洗練された彼の作品は、同郷アーティストらの素朴な画風とは一線を画し、セジュルネの絵には、遠い昔から今に伝わる文化の真髄が表現されているかのようである。半開きの視線を投げかける、首の長い華奢な女性。南国特有の貝殻や花々。パステルカラーや揺らめくような形状がもたらす柔和さは、見る者を夢心地に誘う。
1986年ムートン・ロスチャイルドのラベルには、「白色のネグリチュード」、深い闇に浮かぶ3つの顔が描かれている。彼の才能が見事に花開いた、最高傑作のひとつである。