

1945年、フィリップ・ド・ロスシルド男爵は、連合軍の勝利を記念し、美術作品をムートン・ロスシルドのラベルに飾るアイデアを創出した。当時の状況をふまえ、平和の復元とようやく手にした生きる喜びを祝福する象徴的絵画作品である。
男爵は、当時まだ無名の若きアーティストであったフィリップ・ジュリアン(1921年〜1977年)に制作を依頼した。ジュリアンは、イラストレーターとしての資質に加え、後には人気演劇作家として活躍する。ジュリアンがフィリップ男爵に提案した幾つかの作品の中から、男爵はVictory(勝利)を意味する「V」の文字を選ぶ。その5年前から、チャーチルが自由世界に対して結束のサインとして高く掲げてきた「V」である。