

イギリス人彫刻家ヘンリー・ムーア(1898年〜1984年)は、ヨークシャーの炭坑夫の家庭に生まれ、ロンドンの「ロイヤル・カレッジ・オブ・アート」で学ぶ。1930年代に入ると、先コロンブス期の芸術スタイルや彫刻家ブランクーシの作品からインスピレーションを得ながら、シュルレアリストらとともに定期的に展覧会を催した。様々な錯綜したスタイルに感化されながら、人間の根本的機能(繁殖、王権など)をテーマとして取り上げて人体を描く手法を確立していく。大きな穴を開ける、あるいは素材の厚みを利用し、それをくり抜いて奥行きを作るなどして、どっしりとしたシルエットに動きを与える技法を用いた。近代彫刻のトップアーティストに数えられている。
1964年ムートン・ロスシルドのラベルデザイン – 組んだ手に支えられた聖杯3脚 – 古代儀式が醸し出す厳粛さを想起させる。