

キース・ヘリング(1958年〜1990年)は、ペンシルベニア州生まれのアメリカ人画家・彫刻家。1980年代、ニューヨーク「イースト・ヴィレッジ」のリーダー的クリエーターとなる。地下鉄のグラフィティや、代表作である「Radiant Child(光輝く赤ん坊)」のタイムズ・スクエア掲示板への表示など、街角を制作活動の舞台としたことで、アートギャラリーによるエリート主義から免れた。「Radiant Child」は、フェルトペンでなぞったようなコンパクトなシルエットで、驚きや感嘆を表現する際にマンガ作品で使われる光の線を赤ん坊の周りに描いている。自分自身のことを謙遜も含めてヘリングは「20世紀のイメージ製造業者」と表現したが、むしろユーモアと哀しみが入り混じった現代の詩人と呼ぶべきであろう。
踊る牡羊たちを題材とした茶目っ気たっぷりのバリエーション作品。1988年ヴィンテージのラベルは、もしかするとシャトー・ムートン・ロスチャイルドの公式紋章に着想を得て、それを皮肉っぽく表現したのかもしれない。