

フランス人彫刻家・グラフィックデザイナーであるベルナール・ヴネは、1941年オート・プロヴァンスの村に生まれた。17歳の時、美術家を目指してニースにてデッサンを学ぶ。1963年以降、タール画およびダンボールを用いたレリーフ彫刻で名を知られるようになる。1960年代、コンセプチュアル・アートの中心的アーティストとなり、その後の作品の原型が生まれる。つまり、キャンバス上に軸、曲線、方程式を描く、独自の数学的曲線表現である。ところが、1971年から1975年にかけて、考察を深め教育活動に専念したいと、一切の創作活動を中断している。
1976年、彼にとっての新たなスタートとなる年。ニューヨークとフランス・プロヴァンス地方を股に掛けた制作活動。フランス・ヴァール県のル・ミュイにある自宅は、ヴネの私設美術館建物として利用されている。活動再開後、ヴネは新たな素材に注目する。棒状の非加工鋼鉄である。直線、曲線、折れ線、斜線、あるいは「分類不可能な」線…、多様な線状を描く巨大作品を制作する。ランダムな螺旋型作品によって彼の名は世界中に知れ渡り、数々のコレクションに出品。アメリカ合衆国、ドイツ、日本、フランス、世界各国の権威ある場所に数多くの作品を提供している。 例えばパリにおいてはラ・デファンスのビジネス地区に作品が展示されている。2009年、ブリュッセルにて開催された個展「Disorder」、そしてベネツィア・ビエンナーレへの参加は、美術家としてさらに飛躍する契機となった。
2007年ムートンのラベルには、樽の曲線を思わせる輪のアーチ。まるで地に根を生やした聖杯のようであり、ブドウの樹々と同じように、天からの貴重な授かり物を受け止めようとしているようでもある。