シャトー・ムートン・ロスシルド、新醸造庫

去る6月16日、シャトー・ムートン・ロスシルドの新醸造庫、そして、1945年以来、伝説のプルミエ・クリュのラベルを彩ってきた芸術作品を展示するスペースの落成式が執り行われました。これを機に、「Musée du Vin dans l’Art(芸術の中のワイン・ミュージアム)」も再オープンを果たしました。

フィリピーヌ・ド・ロスシルド夫人からの依頼を受け、舞台装飾家リシャール・ペドゥッツィとボルドーの建築家ベルナール・マジエールが工事の全体統括を担当し、フィリップ・ダリュアン(バロン・フィリップ・ド・ロスシルド社所有シャトー代表取締役社長)との協議の上、設計デザインが決定されました。

極めてシンプルな正面ペジメント、匠の技で組まれたオーク材の梁、上下階はすっきりとした鉄の柱で繋がれています。木と鋼、ふたつの素材が調和する空間が広がり、ペンダントライトが内部を美しく照らします。技術面に関しては超近代的な設備で、設計を担当したリシャール・ペドゥッツィの言葉を借りると、ディドロ&ダランベールの百科全書さながらの醸造庫であると。グラン・ヴァンというものは、最先端の醸造技術研究に助けられながらも、18世紀同じく、現場およびアトリエでの作業の結晶であるということ、そして、造り手と道具、環境との完璧な調和の中に生まれるものであるということを、実に洗練された手法で思い出させてくれます。容量の異なる64基のタンクは、ドメーヌの各区画に対応し、収穫時の果実厳選のみならず、ワインのアッサンブラージュにおいても状況に応じた最適化が可能です。

1981年以来、世界各国美術館で開催されてきた「ムートン・ロスシルド、芸術とワインラベル展」。このたび、ムートンの敷地内に常設展示スペースが設けられました。現代を代表する巨匠アーティストの作品が、ピカソからジェフ・クーンズまで、ブラックからバルテュス、フランシス・ベーコンに至るまで、2階建てのスペースにてご鑑賞いただけます。作品はガラスケース内に展示され、美術展示コンサルタント、フランシス・ラクロッシュによる精巧なスペース利用および照明が、作品の魅力を引き立ててくれています。1階スペースには、画家・彫刻家ルージュモンが、ムートン・ロスシルドのために制作した、ワインの澱と金で彩られた円筒作品が飾られています。

「されどムートンは不変なり」、この格言を胸に、フィリピーヌ・ド・ロスシルド夫人は、父フィリップ・ド・ロスシルド男爵がかつて紡いだワインと芸術のつながりへの認識を新たに、幾世にもわたるシャトーの歴史に刻まれるにふさわしい建物を、独自の感性と才能あふれるふたりの建築家に依頼しました。「されどムートンは不変なり」…、されど絶えず革新を続けます!

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