2017年シャトー・ムートン・ロスチャイルドアネット・メサジェがラベルを飾る

アネット・メサジェ – ANNETTE MESSAGER

アネット・メサジェは1943年、フランスのパ=ド=カレー県に位置するベルク市に生まれ、グラフィックデザインおよび造形芸術の分野で活動するフランス人美術家です。彼女の作品はパリ、ロンドン、東京、ニューヨーク、世界各地の有名美術館にて展示され、2005年ヴェネチア・ビエンナーレでは金獅子賞、2016年には高松宮殿下記念世界文化賞など、多数の栄えある賞を受賞しています。

デッサン作品から立体的アッサンブラージュ作品、そして巨大インスタレーションまで、アーティスト自身の好奇心がそのまま作品に反映されています。

多様なフォルムにもセンシティブなテーマにも怖気づくことなく、常に異なる身元の人物になりきり、まったくの想像のもとにアルバム・コレクションを制作する作業からスタート。幼少時の思い出、結婚、男たち、ことわざ、恋愛、きのこ、すべきこととすべきでないこと、ありふれた日常に使う言葉、声を出して主張することと秘密にしておくことなどなど、扱われるテーマは実に多岐にわたります。

その後、徐々に言葉はフォルムを持ち始め、命が宿り、動きが加わります。それはまるでおとぎ話の中で操り人形がぶらぶら揺れる姿を眺める剥製の動物のようであり、分離した体の一部が丸や三角を描いてまとまる場面であり、手芸用フォルムが息をつく、あるいは髪の毛が舞い上がる中、壁面で舞う夢想の数々であり。

彼女の作品はフェミニズム的メッセージ性が強く、独自の規律と制約でもって世界を捉えると同時に、その世界を超越し覆す、楽しみながら因習を打破していくことを意識した作品が多く見られます。アネット・メサジェの作品を前にすると、人々は薄ら笑いを浮かべたり(jaune)、気が滅入ったり(noir)、幸せに感じたり(rose)、激怒したり(rouge)するでしょう。それはそこには愛があり、駆け引きがあり、獣性、耐え難い苦しみ、それらすべてがあり、それらすべてが描かれているからです。

アネット・メサジェは、デッサンの中でも最も文字どおりのフォルム、つまり字体(エクリチュール)を素材にムートンのラベル作品を生み出しました。字体は合図であり呪文でもあります。重なって寄せてくる波のように繰り返される「Hallelujah(ハレルヤ)」。そこに聖書の中でしばしば関連づけられるふたつの物質、ミルクとワイン。これらの効能を謳うと同時に、アネット・メサジェはこの作品を通してリアルかつシンボリックな表現手法でふたつの物質に賛辞を贈ります。

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