2003年の冬といえば、寒く平年並みの降水に恵まれた1月および2月の天候が特徴的でした。
3月は異例なほど温暖で、気温は季節にしては高温(+2.5℃)だったため、萌芽は順調に進み、カベルネ・ソーヴィニヨンは5日ほど早めの萌芽を記録しています。
4月から6月までは、2月の段階から兆しが見られた旱魃傾向が継続します。降水量は過去40年平均値より37%下回っています。ゆいいつ7月の降水量および気温は、いずれも平年並みで、ブドウ樹にとってはようやく休まる月となりました。
このような天候条件はブドウ樹の生育にとっては有益で、5月末には7日ほど早めに開花が確認されています。
8月は異例の猛暑で、40℃を超す気温を観測し、降水量は季節平均を下回りました。
植物にとっては過酷な状況ではありましたが、ブドウ樹の根は下層部まで深くのびていることから深刻な水分欠乏に悩まされることもなく、順調に果実成熟を得ていきました。
9月は全体的に暑く乾燥した月で、ゆっくりと徐々に熟度はあがり、フェノール成分の成熟も進みました。9月初旬には若干の雨に降られましたが、ブドウは優れた衛生状態で収穫されています。
見事に濃厚な外観を備えたワイン。ガーネット色の光沢。
非常に上質な香り。カベルネの特徴豊かで、カシスやスギのアロマと同時にキャラメルや煮詰めた果実の香りが広がる。
味わいは、アタックは実に風味豊か。上品で丸みのあるタンニンが味蕾いっぱいに広がる。果実味とスパイス、ハバナ、ユーカリのノートが交じり合う。
後味には表現豊かな風味が残り、余韻の長さと力強さが特徴的。調和となめらかさがある。
2003年ムートン・ロスシルドは、近年稀に見る偉大なる成功作ヴィンテージと評される。
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