2010年は、乾燥傾向ではありましたが、夏も猛暑に見舞われることもなく気温は冷涼な1年でした。
冬の寒さはむしろ厳しく、続く春は乾燥傾向でしたが、気温は冷涼な日が6月中旬の降雨まで続きました。6月21日以降に気温が上昇し、夏らしい天候が7月まで続きました。とりわけ日照量は豊富でしたが、若干気温は低く、深刻な旱魃が観測されています。8月21日には夏らしい天候が復活(8月25日・26日には38度まで気温が上昇)しました。夜間は相変わらず冷涼で、最適な果実成熟サイクルのスタートを切っています。
9月初旬に降り続いた雨は恵みの雨というべきで、果実の成熟を促進させました。酸は減少し、フェノール成熟の進度はゆっくりでしたが果実の衛生状態は完璧に保たれています。
夜間は常に涼しく日中は再び好天に恵まれたことで、収穫までの期間に果実の品質は一層高まり、アントシアニンおよびアロマの合成が促進されました。
収穫作業は絶好のコンディションのもとで行いました。ブドウの粒は自然の凝縮が得られ、小粒でした。果汁は実に風味豊かで、上質な酸を含んでいます。
過度な水分欠乏状態に陥ることもなく、ブドウ畑は常に乾燥した状態で、理想的日照量に恵まれました。加えて、冷涼な夜の気温とともに必要な時期に適度な雨に恵まれたことで、2010年には特筆に値する秀逸な品質が備わっています。
テクニカルノート暗さと濃さのある赤色の外観。
カベルネ・ソーヴィニヨンを主要品種とし、2010年ムートン・ロスチャイルドは複雑なアロマパレットを特徴とする。香りにはバニラの香りやほのかな焦焙系のアロマが含まれ、エアレーション後にはカシスやブラックチェリーを思わせる果実のノートが広がる。
味わいは、アタックには稀に見る複雑性がある。上手く包み込まれた力強いタンニンにより、ボリューム感と秀逸な丸みが生まれている。
瑞々しさとミネラル感がこのワインの後味の特徴で、素晴らしいエレガンスが備わっている。
2010年ムートン・ロスチャイルドの余韻の長さと調和は特筆に値する。
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