厳しい寒さが特徴的だった1月から冬はスタートし、1週間以上、極めて低温の雪の日が続きました。2月および3月も同じく寒く、一方で非常に乾燥した月でした。この寒さは冬の間ブドウ樹を休ませるには効果的で、ようやく4月中旬に萌芽を迎えました。(メルロおよびカベルネ・フランは4月14日、カベルネ・ソーヴィニヨンは4月16日。)
その後は降水状況と気温が好条件に組み合わさって、ブドウ樹は順調に生育しました。6月は曇天続きで雨も多く、3週間ほど続いた花の時期には花ぶるいや部分的不生育(ミルランダージュ)を引き起こしています。
開花中間期は、メルロおよびカベルネ・フランは6月12日に記録されています。暑く多湿な夏の天候のもとでは病害繁殖リスクが高く、適確な予防措置をとってようやく被害を抑えることが出来ています。開花時の不均質性は着色の段階でも見られ(着色中間期8月18日)、十分に着色していないブドウ房を樹から除去する作業が必要とされました。
9月には好天が続き異例の高温を記録したことで、ブドウの生育が促進されました。それでも、果実成熟の進度は遅めでゆっくりと進みました。9月末および10月初めには再び雨天が続きます。収穫時も不安定な天候に見舞われ、ただでさえ気紛れなヴィンテージをさらに混乱させます。ヘリコプターを使ったブドウ畑の乾燥作業が幸いにも十分な効果を上げています。
テクニカルノート暗さのある赤色の外観。縁部分はオレンジ色かかっている。
香りには、蜜蝋や果実のノートの他、ラズベリー、チェリー、森の下草、レザーの匂いが感じられる。
アタックはエレガント。未だに瑞々しさを感じられる。バニラの香りが顕在で、タンニンは溶け込んでおり、ストラクチュアはなめらかである。上質なバランスがこのワインの特徴で、後味には完熟果実と各種スパイスがあらわれる。
ラベル作品担当
ハンス・エルニ (1909年スイス、ルツェルン生まれ)
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