オラファー・エリアソン(Olafur Eliasson、アイスランド/デンマーク)は1967年生まれ。デンマーク・コペンハーゲン王立芸術アカデミーで学び、現在はドイツ・ベルリンを拠点に活動するアーティストです。自身の名前を冠したスタジオは、建築家や美術史家を中心としたマルチディシプリナリーなチームでのアート活動を特徴としています。人々を取り巻く環境から生まれるセンサリーな体験にフォーカスし、彫刻作品、絵画作品、写真、フィルム映像、デジタル作品と、表現ツールは多岐にわたります。彼の作品は世界有数の著名アートスペースにて展示されており、建築プロジェクトはもちろん、講演会、再生可能エネルギーや人道問題に対する支援など、オラファー・エリアソンはパブリックスペース(公共空間)における活動にも精力的です。2003年にはヴェネツィア・ビエンナーレのデンマーク代表に選ばれ、同年、イギリス・ロンドンのテートモダン内タービンホールでは、霧に包まれた巨大な太陽「Weather Project(ウェザー・ブロジェクト)」を出現させました。また、人工の滝からなる屋外インスタレーション作品「New York City Waterfalls(ニューヨーク・シティ・ウォーターフォルズ)」も多くの人々を魅了しました。
2014年にパリで開催された地球温暖化対策を協議する「COP21」では、「Ice Watch(アイス・ウォッチ)」を発表。これは解けゆく氷塊を展示することで気候変動の脅威を視覚的に訴えた作品です。2016年にはフランス・ヴェルサイユ宮殿内および庭園を会場に、君主制や « paraître(見かけ) » に支配された世界をインスタレーションで表現しています。
シャトー・ムートン・ロスチャイルド2019年のラベル作品「Solar Iris of Mouton(ソラー・イーリス・オブ・ムートン)」は、空想のダイアグラム(図式)を用いて、自然と芸術、そして科学が交錯する、太陽とワインとの固い結びつきを讃えています。ラベル中央にくり抜かれた丸窓(オクラス)からガラス越し(in vitro)に姿を覗かせるワイン。その周りを旋回する恵み深き天体。1年を通してムートン・ロスチャイルドで同時刻に太陽の位置を記録し、アナレンマと呼ばれる太陽の軌道図を作成。これはまさにシャトーの空に太陽が残したIDカードであり、オラファー・エリアソンの言葉を借りると「ムートンを抽象的に描いたポートレート」です。八(8)の字型のモチーフは無限大を示す記号でもあり、2019年ムートン・ロスチャイルドの永遠への誓いとも解釈できます。
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