デイヴィッド・ホックニーは1937年生まれ。現代イギリス美術界を代表するアーティストです。歴史に名を残す芸術家として、その才能は早くから注目を集めていました。ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)で学び、1962年の卒業に際しては金賞を受賞。プロの画家として瞬く間に成功を収めます。翌年、米国にてポップアート運動に参加し、ホッパーおよびウォーホルとの出会いを果たします。その後、カリフォルニア大学バークレー校およびロサンゼルス校で絵画を教えます。明るい陽光と自由な空気に魅せられ、1966年以降はカリフォルニアを拠点に活動を続けています。
ホックニーは、アクリル画からポラロイド、そしてiPadと、時代を象徴するテクニックをすかさず取り入れ、友人、風景、静物画など、常に身近な世界をテーマとした作品を描き続けています。彼の代表作、カリフォルニアのプールを描いた作品の数々には、明示的、あるいは暗示的に人物が描かれ、つかみどころのないエロティシズムが醸し出されています。ホックニーは活動初期から肖像画(ポートレート)を得意分野とし、ゴッホを彷彿とさせる燃え立つような色彩と、アングル的なクラシカルで緻密なタッチが彼の作品の特徴です。
ロンドンのロイヤル・アカデミーにて開催された最新のホックニー展では、肖像画82点と静物画1点が展示され、大盛況のうちに幕を閉じました。2017年には大回顧展の開催が予定されています。ロンドンを皮切りに、パリのポンピドゥーセンター、そしてニューヨークにて。ひとつのジャンルにくくることのできない天才アーティストの、圧倒的画力、緻密なタッチ、そして現代性あふれる制作テクニックに触れる機会となることでしょう。
デイヴィッド・ホックニーと2014年にお亡くなりになったフィリピーヌ・ド・ロスシルド・バロネス夫人は、個人的に親交を深めていました。ムートンに捧げられたデッサンには、夫人へのオマージュとして描かれた放射状に広がるペアグラス。グランヴァンへの期待、そして絶頂を迎えるまで、永遠に繰り返される物語。まさに夫人が長年にわたり主役を演じたムートンの物語です。
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