Xu BIng, chinese artist Chateau Mouton Rothschild 2018 label

徐冰(シュ・ビン)- XU BING

1955年、中国・重慶市に生まれた徐冰(シュ・ビン – Xu Bing)は、大学教員の父を持ち、北京中央美術学院で学びました。2008年から2014年にかけては同学院の副学院長を務め、現在も教鞭をとっています。長年ニューヨークに暮らし、母国である中国に戻った今も北京とニューヨークを拠点に活動しています。

徐冰の作品は世界有数の著名アートスペースに迎えられ、映画作品「Dragonfly Eyes(トンボの眼)」や全編ピクトグラム(絵文字)で書かれた小説作品「Book from the Ground(地書)」など、マルチな才能を発揮するアーティストです。

優れた木版画作品でその才能を世に知らしめ、その後「Phoenix(不死鳥)」や「Background Stories」など、大型インスタレーションや彫刻作品の数々を発表。架空の動物や伝統的な中国の風景はどれも一様に壮麗で、しかし実際に作品に使われているのは簡素な草木や廃材…

代表作のひとつ「Book from the Sky(天書)」には、この見せ掛けの壮麗さをテーマとする制作思想が如実に投影されています。古典的な書体で延々と描かれた一連の創作漢字。それら「偽漢字」に指示対象はありません。巻物状に、巨大パネルに、あるいは空を飛ぶかのように「文字」が並ぶインスタレーション。中国伝統の表意文字の文字体系にインスピレーションを得ながらラテン文字を記しなおす、その手法をアーティストは「Square Word Calligraphy(英文四角字書法)」と名付けました。独創的なエクリチュールを用いて独自のランガージュ(ことば)を新たに創り出す、そこには同時に異文化に対する友愛が息づいています。

2018年ヴィンテージの作品も同様です。まるでグランヴァンを味わっているかのように、徐冰の創作文字は、注意深い読み手の目にはその姿がひとつひとつ明らかになっていくようにデザインされているのです。

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