シャトー・ムートン・ロスチャイルドのブドウ畑は、「le Plateau de Mouton(ムートンの台地)」と呼ばれる標高27メートルの丘の頂きを中心に広がっています。深度のある礫質土壌を利用して、この地方の典型的品種であるカベルネ・ソーヴィニヨン(80%)、メルロ(16%)、カベルネ・フラン(3%)そしてプティ・ヴェルド(1%)を栽培しています。この割合は、実際にワインに含まれる品種使用率とは異なり、アッサンブラージュ(ブレンド率)は各ヴィンテージの特性に応じて変動します。ただ、カベルネ・ソーヴィニヨンが常に主要品種である点に変わりはありません。この品種は、豊富なタンニンと幅のあるアロマパレット、長期にわたって熟成を楽しむためのポテンシャルをムートンのワインにもたらしてくれます。一方でメルロは、カベルネとは切っても切れない仲にあり、ワインにしなやかさと丸み、そして優れた余韻を与えます。メドックのその他のグラン・クリュ同様、ムートンの畑は高い植樹密度(1ヘクタールあたり1万本)で栽培を行なっています。平均樹齢は44年程度です。
収穫時、ブドウ果実は手作業で摘み取られ、ブドウを傷めないようカジェット(小箱)を使用します。除梗後、振動機能付き選果台の上で手作業による粒ごと選果にかけます。この厳しい審査に合格したブドウ粒のみを可動式容器に入れ、重力を利用して醗酵タンク内へと運び込みます。
新たに整備された重力式醸造庫。ハイクオリティな技術革新を追求した設備で、ムートンのワイン造りにおける、新たな歴史の幕開けです。優美なフォルムの鉄骨2階建て構造で、木と鋼、ふたつの素材が美しく調和する空間が広がります。オーク材の木製タンクを使用する「ムートン式」の伝統は今なお健在です。様々な容量のタンクを備え、ドメーヌの各区画に対応します。収穫時の果実厳選のみならず、ワインのアッサンブラージュにおいても、状況に応じた最適化が可能です。オーク材タンクを中心とし(44基のタンクには、醸造工程を外から確認出来るよう透明板が一部はめ込まれています)、その他ステンレスタンク(20基)も設置しています。
醸造後、ワインの育成作業はオーク材の新樽にて行ないます。ウイヤージュ(補酒)、卵白を使用したコラージュ(卵白清澄)をはじめとする育成期間中の各種工法は、メドックの伝統に則った作業です。コラージュは、樽内ワインに浮遊する微粒子の沈澱を促進し、ワインの明澄度を高めると同時に、安定化する作業です。育成期間は20ヶ月ほどにわたり、樽は当初の「グラン・シェ」(地上階)から、2年目の地下カーヴに移動され、ひんやりした環境にてシャトーでのワイン育成は完了します。
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