この年の冬は、凍霜害もなく非常に温暖な天候が続いたと同時に、非常に多湿でした。年始の3ヶ月間の降水日数は平年値を上回り、春になっても強い雨が降り続き、気温も平年より高めの数値を記録しています。このような天候のもとで、ブドウ樹の萌芽は順調に進み、メルロおよびカベルネ・ソーヴィニヨンは4月4日、カベルネ・フランは4月7日に萌芽を迎えています。5月および6月は同じく温暖で、比較的雨が多い月でした。1988年の上半期には、実に平年1年分の雨が降っています。
開花中間期は、品種に応じて5月26日から29日の期間に記録されています。開花は短期間で均質に進み、この天候条件にしては、花ぶるいや部分的不生育(ミルランダージュ)もほとんど見られていません。夏は高温の日が続き、降水量も低かったことで、着色は若干早い時期から、開花ほど均質ではなかったにせよ、良好な条件のもとで進みました。 着色中間期は、メルロは8月12日、カベルネ・ソーヴィニヨンは8月15日、カベルネ・フランは8月16日に記録されています。水分供給過多の春を経て、旱魃傾向の夏を迎え、ブドウの植物生育サイクルには乱れが見られ、不均衡な水分供給に悩まされました。それでも、9月頭には幾度かの降雨に恵まれた後、気温が上昇し、果実成熟は通常どおりに進みました。病害繁殖リスクが高まりやすい天候条件だったため、収穫までの期間、効果的な措置を取ることで、畑の衛生状態を万全に管理することが出来ています。結果、健全な状態の豊富な収量のブドウを醸造へと進めることが出来ています。
テクニカルノート暗さのある赤色の外観。銅色の光沢。
トースト香に、花系(ユリ)、キャラメル、黄タバコ、リコリス、バニラのノートが加わる。エアレーション後にミネラル感が立ち上がる。
アタックには丸みがあり、たっぷりと豊かで、肉付きの良いタンニンを含む。瑞々しさと力強さはこのヴィンテージの衝撃的ともいえる特徴である。後味には、キルシュやメンソール、コーヒーを思わせるノートが特徴的で、非常に心地良い風味が楽しめる。
ラベル作品担当
キース・ヘリング (1958〜1990)
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