2013年は不安定な天候が記憶に残るヴィンテージとなるでしょう。
冬は寒く多湿で、続く春は気温も低く多雨。結果、植物生育サイクルには遅れが見られ、開花にも乱れが生じました。一変して7月および8月にはかなり暑く日照豊富な天候が続き、降水量も平年を大きく下回りました。7月末には気温が38度まで上昇し、激しい雷雨を引き起こしています。

9月になっても水分欠乏は解消されませんでしたが、結果的に果実の熟度は均質に高まりました。カベルネは今後が楽しみな仕上がりです。糖分量も十分で、ポテンシャルの高い酸を含むブドウに成熟しました。

ムートン・ロスシルドの収穫は、9月30日から10月9日という記録的日数で行なわれました。収穫チームからサポートの要請があり、バロン・フィリップ・ド・ロスシルド社の社員も作業に参加するという異例の収穫でした。130名強が収穫作業に加わり、食堂では695人分の食事が振る舞われました！前代未聞の数字です。

入念に選果を行なった後、ブドウ果実は小箱に分けられた状態でムートン・ロスシルドの重力式醸造庫へと運び込まれます。特筆すべきイノベーションとして、透明な板がはめられた醗酵タンクが挙げられます。これにより、技術スタッフは醸造の進行状況を細部まで確認することが出来ます。

生産量は過去40年間で最低レベルではありますが、厳しい基準でセレクトすることで、高い品質を確保しています。
2013年は、その魅力を最大限に引き出すために、注意深く見守られ、丹念に仕上げられたヴィンテージです。